
こんな疑問に答えます。
FXのレバレッジ、あなたはちゃんと理解してますか?
レバレッジは、FXの魅力の一つ。レバレッジを使うことで、少額の資金で大きな利益を上げることができます。
しかし、レバレッジは、逆に相場が動くと、大きな損失を招いてしまう諸刃の剣でもあります。
この記事では、「レバレッジって何?」という基礎知識、レバレッジの種類やレバレッジ規制の目的、レバレッジに対する疑問を徹底解説していきます。
最後までお読みいただくことで、FXのレバレッジをしっかりと理解できるはずです。
では、最後までお付き合いください。
1.FXのレバレッジとは?
レバレッジとは、一言で言うと「テコの原理」のことです。
テコの原理を使うことで、小さな力で大きな石を動かすことができます。
FXの場合、証拠金を担保にすることで、その証拠金の何倍もの金額のトレードをすることができるのです。
レバレッジには、2種類のレバレッジがあります。
レバレッジがなかなか理解できないという方は、恐らく、この2種類のレバレッジを一緒に考えてしまっているからでしょう。
2.2種類のレバレッジ
レバレッジには、
- 最大レバレッジ
- 実効レバレッジ
この2種類のレバレッジがあります。
それでは、一つずつ説明していきます。
①最大レバレッジ
「最大レバレッジ」とは、取引金額に対しての必要証拠金の最大倍率をいいます。
ちょっとわかりにくいでしょうか?
もうちょっと噛み砕いて言うと、「預けた証拠金で最大何倍までのトレードができるのか?」ということです。
例えば、最大レバレッジ25倍というのは、10万円の証拠金で250万円分の外貨をトレードできるということです。
ポイントは、実際に今持っているポジション量は、このレバレッジには関係がないということです。
具体的な例を用いて、最大レバレッジの算出方法を見ていきましょう。
ドル円レートが100円、1万通貨を取引する場合を考えます。
最大レバレッジは、以下の算式で算出されます。
最大レバレッジ = 取引金額 ÷ 必要証拠金 ・・・①
最大レバレッジ1倍の場合
取引金額は、100円/米ドル×1万米ドル=100万円。
必要証拠金は、100万円÷1=100万円
レバレッジ1倍だと、100万円分の米ドルを取引するために、100万円が必要になります。つまり、これは、レバレッジが全くかかっていない状態です。
最大レバレッジ10倍の場合
取引金額は、100円/米ドル×1万米ドル=100万円。
必要証拠金は、100万円÷10=10万円
レバレッジ10倍だと、100万円分の米ドルを取引するために、10万円しか必要ありません。
最大レバレッジ25倍の場合
取引金額は、100円/米ドル×1万米ドル=100万円。
必要証拠金は、100万円÷25=4万円
レバレッジ25倍だと、100万円分の米ドルを取引するために、たった4万円しか必要ありません。
このように、最大レバレッジが大きければ大きいほど、少額の証拠金で済むことがわかります。
つまり、最大レバレッジが大きければ大きいほど、少額の資金ででより多くの外貨をトレードできるというわけです。
例えば、最大レバレッジ1倍と25倍では、25倍資金効率が良い運用ができるのです。
②実効レバレッジ
「実効レバレッジ」は、口座の証拠金全体に対して、何倍のポジションを持っているのかというものです。
つまり、「預けた証拠金の何倍のトレードをしているのか?」ということです。
ポイントは、今まさに持っているポジション量に関係しているということです。
実効レバレッジは、次の算式で計算されます。
実効レバレッジ = 未決済のポジション ÷ 有効証拠金・・・②
ここで言う未決済のポジションとは、現在保有している未決済のポジションの想定元本のことです。
また、有効証拠金とは、口座の証拠金に未決済ポジションの評価損益を加味したものを言います。
例えば、100万円分のポジションを保有していて、50万円の有効証拠金だとしましょう。これらを②に代入すると、100万円(未決済ポジション)÷50万円(有効証拠金)=2(実効レバレッジ)となります。
最大レバレッジと実効レバレッジでは、そもそも計算の対象が違いますから、全く違うものと捉えてください。
3.レバレッジ規制の目的
現在、レバレッジは法律で規制されています。その規制の目的と歴史について、お話していきます。
平成22年8月1日に金融商品取引業等に関する内閣府令の改正がありました。
それまでFXにはレバレッジの規制がありませんでしたから、200倍とか400倍など、FX業者が定めるレバレッジの範囲内で自由に取引ができていました。
しかし、この改正によって規制が入り、平成22年8月1日から1年間は50倍、平成23年8月1日から25倍に段階的にレバレッジの上限が設けられることになったのです。
なぜ、国はレバレッジ規制をしなければならないのか?
その理由を理解してもらうために、以下に金融庁の考え方を抜粋します。以下の3つの観点から法律の規制の対象となっています。
FX 取引は、証拠金を上回る損失が発生するおそれのあるリスクの高い取引です。特に、高レバレッジの FX 取引については、①顧客保護(ロスカット・ルールが十分に機能せず、顧客が不測の損害を被るおそれ)②業者のリスク管理(顧客の損失が証拠金を上回ることにより、業者の財務の健全性に影響が出るおそれ)③過当投機の観点から問題があると考えています。こうしたことを踏まえ、店頭取引、取引所取引ともに、想定元本の4%以上の証拠金の預託を受けずに業者が FX 取引を行うことを禁止することとしたものです。
規制によって、高レバレッジでトレードしていた人々は、自分のトレードスタイルの変更を迫られました。
法律の規制によって自身のトレードスタイルを変えざる負えなくなるといういい教訓ですね。
時に法律の規制によって、市場そのものがなくなる可能性もあります。
為替市場がなくなるなんてことは、今はまだ考えられませんが、時代の流れや法律の規制によって、自分の主戦場でトレードができなくなったり、トレードスタイルを変えなければならなくなる可能性は、認識しておくべきかと思います。
また、レバレッジの規制は、その国によって度合いが違うものの、急激な為替変動による投資家保護の観点から、レバレッジに規制をかけるのは、世界のトレンドとなっています。
FX業者は、レバレッジ規制によって、より規制が緩い国(キプロス、マルタ、オーストラリア、イギリスなど)に活動拠点を移しています。
現段階の日本だと、海外のFX業者を使うのは、あまりメジャーではありませんが、今後競争が進み、海外業者のサービスや信頼性が向上することで、今後は一般的なものになってくるかもしれません。
4.実効レバレッジと資金効率
実効レバレッジが高くなると、利益額が大きくなるとともに損失額も大きくなります。
下の図は、証拠金100万円のときに1ドル=100円でポジションを保有した場合の損益です。わかりやすくするため、評価損益は加味していません。 同じ1円の為替変動でも、実効レバレッジの違いで、損益は全く違ったものになります。
レバレッジ1倍であれば、1%しか変動幅がありませんが、レバレッジ5倍だと5%、レバレッジ25倍だと25%の変動幅があります。
レバレッジが高くなればなるほど取引金額は大きくなりますから、証拠金に対しての損益割合は当然上がります。
つまり、価格変動の影響は、実効レバレッジを高くすればするほど大きくなっていくというわけです。
仮に、自身のトレードをプラスに回すことができるのであれば、高い実効レバレッジでトレードすることで、効率よく資金を増やすことができます。
5.高レバレッジの注意点
ただ、いくら効率よく資金を増やすことができるといっても、高いレバレッジでトレードし続けるのはリスクがあります。
特に、夜越しするようなスイングトレードだと、突発的な為替変動に対応ができませんから、そのままロスカットとなる可能性があります。
※ロスカットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫参考:FXのロスカットとは?【回避方法も解説します】
レバレッジは、単に資金量という観点だけではなく、
- 自分のメンタルが耐えれるかどうか
- 自身のトレードスタイル
これらも併せて考慮する必要があります。
6.レバレッジは常に意識すべきか?
私自身、毎回のトレードでレバレッジを意識しているかと聞かれると、そういうわけではありません。
ただ、トレードの際、資金に対するリスク量は常に意識しています。
リスク量とは、「自分が1トレードあたりでどれくらいのリスクを負うのか」ということです。
例えば、100万円の資金で許容損失額を1万円とするなら、リスク量は1%になります。
私は常にこのリスク量を一定に保ってトレードをしています。
資金量に対するポジション量を管理するという観点では、実効レバレッジを管理していると言えるのかもしれません。
実効レバレッジでも、リスク量でもいいのですが、資金量に対して自分が今どれくらいのポジションを持っているのかはしっかりと把握しておくことが大切です。
※リスク量を一定にしてポジション量を調整する方法については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ、こちらを参考にしてください。
≫参考:投資効率を最大化する正しい損切り(ロスカット)の知識のすべて
7.レバレッジは低ければ低いほどいいのか?
レバレッジについて調べると、よく高いレバレッジでトレードするのは危険だからやめましょうという記事を目にします。
私もこれには同感です。異論はありません。
ただ、「レバレッジは低ければ低いほどいい」というのは、間違いだと思います。
というのは、トレードは目標を達成するための一つの手段だからです。
トレードをしているのは、何かしら目標があるからと思います。あなたにも何かしら目標があって、それを達成するためにトレードしていると思います。
トレードでお金を稼いで、そのお金で何かをするためにトレードをしているのであって、ただ闇雲に安全にトレードするということが目的ではないということです。
あくまで、トレードは目的を達成するための一つの手段。人によって、資金量も違いますし、負うべきリスクも違います。
1年後に100万円欲しいというのと、10年後100万円欲しいのでは、かけるべきレバレッジも全く違ってきます。
今、自分の資金はいくらで、いつまでに、どれくらい必要なのか?
これを明確にしない限り、レバレッジが適正なのか、そうできないかは判断できません。
自分の目標を明確にし、背負うリスクを把握した上で、レバレッジが高いのか低いのかを自分で判断することが大切です。
8.まとめ
さて、ここまでレバレッジについて、一通り解説をしてきました。おさらいすると、
- レバレッジとは、テコの原理。証拠金を担保に何倍もの外貨をトレードできる。
- レバレッジには、最大レバレッジと実効レバレッジの2種類ある。
- 最大レバレッジとは、取引金額に対しての必要証拠金の最大倍率をいう。
- 実効レバレッジは、口座の証拠金全体に対して、何倍のポジションを持っているのか。
- レバレッジの規制の目的は、顧客保護、業者のリスク管理、過当投機の防止。
- 実効レバレッジが高ければ高いほど資金効率は良くなるが、その分リスクも高まる。
- 実効レバレッジやリスク量で今持っているポジション量を把握しておくことは大切。
- レバレッジの高い低いというのは、目標、メンタル、資金量、トレードスタイルによっても変わってくる。
こんな感じです。
この記事が、あなたのレバレッジの理解を深め、適切な資金管理の助けになれば幸いです。