さて、今回は人のパフォーマンスに関わるとても重要なスキルをご紹介します。
それは、行動するときに心を整えるスキルです。
理想と現実のギャップを感じた時、多くの人はまずは勉強しようとします。本を読んだりしてまずは知識をつけようとします。
もちろん、知識をつけること自体、悪いことではありませんし、むしろやった方がいいと思います。
しかし、それよりも先にやるべきことがあります。それは、自分自身のパフォーマンスを上げる工夫です。
いくら、知識を増やしても、スキルを磨いても、高いパフォーマンスを発揮できなければ、いい結果を残すことはできません。
高いパフォーマンスを発揮するためには、まずは、自分の心を整えることです。
この記事の目的は、心を整えるという概念を知ってもらうことにあります。そして、何をするにもまず、心の状態を整えてから行動を起こす。この習慣をぜひ身に着けてもらいたいのです。
ご紹介するのは、表面的な方法論やテクニック論ではありません。人間のパフォーマンスと真正面から向き合う、本質を突いた話です。
このスキルを身に付けてもらえば、自分のパフォーマンスを高めることができ、タスク処理能力は大きく向上します。
仕事、勉強、日常生活のさまざまなパフォーマンスに大きく影響を与え、豊かな人生を生きるというあなたの目標に大きく寄与するはずです。
ぜひ、最後までお付き合いください。
心の3つの法則

始めに、心の法則について説明します。
これが、心をマネジメントする根底にありますから、しっかりと理解していきましょう。次の3つの法則があります。
- 法則1 心には状態がある
- 法則2 心はいい気分、悪い気分どちらかにある
- 法則3 心の状態がパフォーマンスを決める
それでは、一つ一つ説明していきます。
法則1 心には状態がある
人の心は常に一定の状態を保っているわけではありません。日々の出来事や人間関係によって、波の揺らぎのように気分は変わります。
常に機嫌がいい、常に機嫌が悪いなんてことはなくて、状況やシチュエーション、外部環境によって大きく変わります。
心には状態があるというのが法則1です。
法則2 心はいい気分、悪い気分どちらかにある
心の状態を大きく分類すれば、
- 機嫌が良い状態
- 機嫌が悪い状態
この2つの状態があります。
機嫌が良い状態を、心理学で”フロー”といいます。
そして、この度合いが強いと、スポーツなどで言われる”ゾーン”という状態になります。

フロー (英: Flow) とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ZONE、ピークエクスペリエンスとも呼ばれる。心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱され、その概念は、あらゆる分野に渡って広く論及されている。
Wikipedia
機嫌が悪い状態を”ノンフロー”といいます。この度合いが強いと”鬱”になります。
心は揺れ動きながら、良い気分、悪い気分、常にどちらかに振れている。この特性が法則2になります。
法則3 心の状態がパフォーマンスを決める
人は、フローになるとパフォーマンスは上がり、ノンフローになるとパフォーマンスは下がります。
つまり、心の状態によって、発揮できるパフォーマンスが決まってしまうのです。
以上が心の3法則です。この3つの法則を前提にお話ししていきます。
フローとノンフロー
フローとノンフローという言葉が出てきました。そして、これら心の状態が人のパフォーマンスを決めます。
あなたも自分の生活を振り返ってもらえば、何となく理解していただけるでしょう。

例えば、
- 天気のいい日に仲間とバーベキューをする
- 雨が降っている日に家で一人ご飯を食べる
この二つのシチュエーションを想像してみてください。
①の外で食べるほうが断然おいしく感じると思います。これは、バーベキューで食べるものが特別おいしいというわけでも、家で食べているごはんが特別まずいというわけではありません。
バーベキューの時はフローになっていることで、パフォーマンスが向上していて、家で一人で食べている時はノンフローになっていることで、パフォーマンスが低下している。
ただ、それだけのことなのです。
このように、あらゆる人のパフォーマンスは、心の状態で決まっています。これは例外なく、全ての人を支配している心の法則です。
多くの人がハマる罠
多くの人が他人や環境など、外的環境によって心の状態を決めてしまっています。
つまり、受動的に心の状態を決めてしまっているのです。無意識のうちに流されている、なすがままの状態です。
ただ、自分の心ですから、本来自分で決めるべきです。それがあらゆる行動におけるパフォーマンスを左右するわけですから、なおさらそうでしょう。
仕事や勉強のパフォーマンスも、例外なくあなたの心の状態で決まります。
いい状態であれば、仕事がはかどるし、悪い状態であれば、なかなか仕事がはかどらない。心の状態が、すべてのパフォーマンスを決めるのです。

逆に言うと、自分で自分の機嫌を取ってあげることでパフォーマンスを自分で上げることもできる、コントロールすることができるとも言えます。
心の状態をコントロールすることで、パフォーマンスを自分で上げることができるなんて、教育課程ではもちろん、誰も教えてくれません。
だから、多くの人が、他人とか環境とか、自分以外の何かで自分の心の状態を決めてしまっています。
多くの人は、心の状態について何の教育もされてきていません。だから、外的環境に反応してしまい、自然とノンフローになってしまうのです。
それによって、いかに自分自身の人生をロスしているか、それを多くの人は知りません。
トップアスリートは、例外なく心を整えるスキルを持っています。
オリンピックに出場するようなトップアスリートの実力は拮抗していて、差が出るのは、持っているパフォーマンスを本番でいかに発揮できるか、心の状態を最高の状態に持っていけるかどうかです。
このスキルによって、本番でパフォーマンスを発揮できるか、いわゆる本番に強いかどうか決まってきます。
実力は一流でも、本番で恐れやプレッシャーを強く感じてしまうとノンフローになってしまい、真の実力を出せず、自滅してしまうのです。
心を整えるスキルは、トップアスリートだけが持つべき特殊なスキルではありません。生きている全ての人にとって重要なスキルなのです。
10あるものを10出す技術
ただ、勘違いしてもらいたくないのは、いくら心をマネジメントするスキルを習得したとしても、実力以上のモノが出せるわけでないということです。

ゾーンに入れば実力以上の結果が得られるなんて、そんなマンガみたいことはありません。
あくまでも自分の実力が10だとして、その実力を10出すためのスキル。スーパーサイヤ人になってしまうような魔法のスキルではないのです。
これからあなたがすべきこと
これまでのお話で、フローの状態を整えることの重要性はわかっていただけたかと思います。
では、いよいよ具体的に心をどのように整えていくのかというお話しをしていきます。
最初にすべきこと。それは、自分の心の状態に気づくことです。
例えば、嫌なことがあったときは、誰でも「嫌だ」と感じます。自分が嫌な気分になった、まずそれに気付くことです。気付かないと何も始まりません。
悪い気分になったと気付くことで、心の状態を戻すきっかけができます。
あなたはノンフローでいるメリットは一つもないことを既に知っています。
自分の心の状態に気付いたとして、次にやることは”今ここに生きる”、これを思い出すことです。
例えば、あなたが朝に寝過ごしてしまったとします。いつも家を出る時間を15分も過ぎています。
あなたは、急いで会社に向かいます。駅で人にぶつかって、満員電車に揺られ、会社に何とか着くことができました。

バタバタした朝であなたは何かモヤモヤした気分になっていることでしょう。ノンフローの状態になっています。当然、仕事もはかどりません。
しかし、よく考えてみてください。
嫌な朝だったというのは、もう過去のことです。今起きていることではありません。今でもない、過去のことに心を支配されてしまっているのです。
そして、ここで思い出すのです。注力すべきは”今”。今すべきことを意識することで、過去に引きずられるのを防ぐのです。
今ここに生きる
将来に対し、漠然と不安を抱いている人が本当に多いと感じます。
まだ起きていないことに対して、恐怖やプレッシャーを感じてしまう。これが今ここに生きていない人の最たる例です。
思考を勝手に未来に飛ばしてしまい、最も重要視すべき今の心の状態をノンフローにしてしまっています。
また、過去の失敗を引きずって、今の行動に影響を与えているという人も同じように多いです。
以前の自分のミスを思い出して、
- あの時は、恥ずかしかった・・・
- 自分はなんてことしてしまったんだろう・・・
- なぜ、あの時こういう対応ができなかったのか・・・
なんて、考えてしまうと途端にノンフローになってしまいます。過去に引きずられ、今が影響されてしまうのです。

もちろん、無計画に今を楽しく生きればいい、過去を振り返る必要はないなんて言うつもりはありません。
目標のために未来の計画を立てること、過去の失敗を今に活かすことはもちろんすべきことです。
しかし、それによって、今の心の状態をノンフローにしてしまうのは全く意味のないことです。
未来や過去は人間の幻想です。人には、常に”今”しかありません。
自分がコントロールできるのは常に”今”しかないのです。過去や未来から余計なものを”今”に持ってきてはいけません。
無意識に生きていると、心は過去に引きずられ、未来を恐れ、自然と心はノンフローになってしまいます。
だからこそ、今ここに生きるという意識が大切なのです。
今とは全く関係のないことに左右されて、今一番大切な心の状態をノンフローにしてしまうことは、本当にもったいないことです。
嫌なことがあったら、心の法則を思い出す。そして、今ここに生きることを意識する。
それだけでも全く違うはずです。心の法則を思い出すだけでもノンフローになる愚かさを思い出せるでしょう。

無駄に思考を過去や未来に飛ばすことをやめる。パフォーマンスを上げるために本当に大切なことです。
とても重要なことですので、繰り返します。
目標達成のために未来を見るということ、これは、これから進んでいく目標を設定して、 今の行動を決めるという大切な意味があります。
これは、無意味に未来に飛ばすことではありません。
また、同じ過ちを犯さないために過去を振り返ること、これも無駄ではありません。大切なことです。
これは、PDCAサイクルでいうC(チェック)にあたります。これも思考を無意識に過去に飛ばすことではなく、これからを作るために、今振り返って分析するということですから、そういった意味で過去を振り返るのは大事なことです。
目的なく過去や未来に意識を飛ばすことが無駄ということです。
目的や意図があって行うのは全然構いません。むしろ、すべきことなのです。
まとめ
さて、ここまでの話をまとめると、
【心の3法則】
- 法則1 心には状態がある
- 法則2 心はいい気分、悪い気分どちらかにある
- 法則3 心の状態がパフォーマンスを決める
心の状態は常に揺れ動いていて、心の状態はパフォーマンスに大きく影響します。だから、常に自分の心の状態を確認することが大事だということです。
今回お話しした心のマネジメントは、難しく考える必要はありません。
ただ、嫌な気分のまま行動するのは、やめようということです。一度立ち止まって、自分の心の状態を確認し、いい気分にしてから行動しようということです。
それがあなたの実力をそのまま正しく出せる方法だからです。
心を整えてから行動することで、あなたのパフォーマンスは劇的に変わり、あなたの人生がより豊かなものになります。
まずは、自分の心の状態に気づく習慣を持ちましょう。そして、“今ここ”を大切に日々行動していきましょう。