移動平均線、あなたは上手く使えていますか?
移動平均線は、ほとんどのトレーダーが使っている最もポピュラーなインディケーターの一つでしょう。
テクニカル分析において、まずは押さえておくべき重要なインディケーターです。
この記事では、移動平均線の見るべきポイント、売買戦略、注意点など、移動平均線について徹底的にまとめてみました。
最後まで読んでいただき、移動平均線の本質を理解していただければ、インディケーターに振り回されず、より多くの情報を相場から引き出すことができるようになるはずです。
ぜひ、最後までお付き合いください。
1.移動平均線とは
「移動平均」とは、「直近の一定期間のレートの平均」を言います。
例えば、「10日間移動平均」というと、今日を含む直近10日間のレートの平均した値を言います。
また、日足でない場合は、「10本移動平均」「10期間移動平均」と言う時もあります。
これは、直近10本のローソク足のレートをもとに、移動平均を計算するということです。
新しいローソク足ができるたび、それに対応する移動平均を求め、それらの値を折れ線で結ぶことで移動平均線ができます。次のチャートは、20日移動平均線です。
移動平均線によって、ローソク足単体ではわかりづらい相場の大まかな流れを把握することができます。
つまり、実際の相場の価格はローソク足、相場の大まかな流れは移動平均線を見ます。チャートを見る際は、このローソク足と移動平均線の関係性から今後相場がどう動くのかを考えながら見るのが基本となります。
移動平均線の理解を深めるために、10日移動平均線が作られる過程を詳しく見ていきましょう。
なお、ここでは終値ベースで考えていますが、終値ではなく、始値や高値と安値の平均で作ることもできます。
2.移動平均線の種類
移動平均線には様々な種類のものがあります。算定期間や値の重点をどこに置くのかによって様々です。
その中でこれが一番正しいというのはなく、移動平均線から何を見るのか、どう使うのかによって、自分で選ぶ必要があります。
2-1 移動平均線の期間
移動平均線は、期間によってその意味も形状も全く違うものになります。
ここでは、移動平均をとるべき期間を考えていきましょう。
移動平均線で使われる一般的な期間として、日足チャートであれば「5・10・20・21・25・50・75・90・100・200」がよく使われる期間です。
この中で5日は、1週間の営業日、20日は、1ヵ月の営業日からきていると思われます。また、中長期のトレンドを見る際は、200日がよく使われています。
これは、休日を除いた年間営業日が約200日ということに関係しています。
特に、この200日移動平均線は、トレンド転換点として注目されます。後述するグランビルの法則を考案したチャート分析家のジョセフ・E・グランビルは、200日移動平均線が最も信頼性が高いと言っています。
実際にチャートを見てもらえば、200日移動平均線はサポートライン、レジスタンスラインとなっていることがわかると思います。また、よくトレンドが転換するポイントになります。
週足チャートの場合には「13・26・52」の期間、月足では「12・24・60」の期間がよく使われます。
日足よりも短い足のチャートになると、それぞれのトレーダーが自身のトレードスタイルに合わせて設定している事が多く、一般的な期間と言うものは有りません。
ただ、移動平均線は、期間が短くなると、「ダマシ」が発生しやすくなる特徴があります。
それを避けるために、わざと5期間移動平均ではなく、より反応が遅い7期間移動平均を好むなど、考え方によってさまざまです。
冒頭にお話ししたように、移動平均線はどんなトレードの本においても最初に出てくる最も初歩的でポピュラーなインディケーターです。
ですから、市場に参加しているトレーダーの多くは、移動平均線で相場のトレンドや転換点を見て売買をしてるはずです。
多くの人が使っている一般的な期間を使えば、市場が注目するポイントも分かり、それを自身のトレードに生かすことができます。
つまり、多くの市場参加者が注目している期間を使うことで、相場心理がより分かりやすくなるわけです。
もちろん、どの期間が最もよく機能するかは、明言することはできませんが、より多くの市場参加者が注目するポイントを見つけ、その時の心理動向を推測することが重要です。
2-2 移動平均線の種類
移動平均線には、次の3つ種類があります。
2-2-1 単純移動平均線(SMA)
まず1つ目が「単純移動平均線(SMA)」です。
ここまで説明してきた移動平均線は、このすべてSMAです。最もシンプルな移動平均線です。
移動平均線の元祖ですから、いまだ世界中の多くのトレーダーがこのSMAを使っています。
2-2-2 指数平滑移動平均線(EMA)
2つ目が「指数平滑移動平均線(EMA)」です。
詳しい計算方法はここでは省略しますが、直近の値に2倍の加重をかけて平均することで、直近の値に敏感に反応するようになっています。
直近の値を重要視するよう計算されているわけです。つまり、直近の値の影響を大きく受けます。
2-2-3 加重移動平均線(WMA)
3つ目が「加重移動平均線(EMA)」です。
これも直近の値に加重をかけて直近の値に敏感に反応する移動平均線です。
ただ、加重のかけ方がEMAとは違っていて、EMAのほうがより直近の値に影響されやすい計算となっています。
2-3 移動平均線が増える理由
なぜ、移動平均線の種類がこんなにもあるのかというと、SMAは直近の値への反応が弱いため、トレンド転換やサインを見逃しやすいという欠点があるからです。
それを解消するために、より直近の値動きに敏感に反応する移動平均が考案されたわけです。
もちろん、その後に生まれたEMAやWMAの方が優れているのかというとそんなこともありません。
移動平均線の相場の大まかな流れを把握できるというメリットが、直近の値に敏感に反応するようになってしまうことで薄れてしまうからです。
「どの種類の移動平均線を使うのがベストか」の答えはなくて、良い部分と悪い部分を理解した上で、「相場から何を得るのか」を明確にした上で使うべきなのです。
例えば、トレンドを把握する目的なのであれば、大まかな相場の流れを把握するために、直近の値動きに反応しにくいSMAが合っているでしょうし、トレンドの発生やトレンドの転換を一早く捕捉したい場合は、直近の値動きに敏感なEMAやWMAが適しているでしょう。
繰り返しますが、EMAとWMAは、直近の値動きにすぐに反応しますから、ダマシが多くなってしまいます。
ダマシを防ぐために、オシレーター系のインディケーターを併せて使うのも有効な方法の一つでしょう。
それぞれのメリットとデメリットがあります。メリットを生かしつつ、デメリットは何かでカバーする工夫が大切です。
3.移動平均線の特徴
では、次に移動平均線の特徴についてお話ししていきます。移動平均線は、次の3つの特徴があります。
3-1 スムージング
ローソク足は、細かく上下していますから、終値を結んだ場合、ジグザグな線となります。
移動平均線は、値動きの平均をとるものですから、ジグザグな線ではなく滑らかな線となります。
滑らかな線にすることで、余計な情報が削ぎ落とされ、相場全体の傾向が見やすくなるのです。
3-2 トレンド
移動平均線は、値動きのトレンドをわかりやすく表現してくれます。
また、相場が上昇トレンドにあるときは、移動平均線はローソク足の下に位置します。そして、サポートラインのようにローソク足を支持するような動きをします。
逆に下降トレンドにあるときは、移動平均線はローソク足の上に位置します。そして、レジスタンスラインのようにローソク足を抑えつけるような動きをします。
下のチャートを見てもらえばわかりやすいかと思います。
3-3 遅効性指標
移動平均線は、遅効性のインディケーターです。
移動平均線の計算方法を見てわかるとおり、値動きの後から描写されるものです。
下降トレンドの際、一度底を打ち、上昇を始める初期段階では計算対象にまだ多くの下降トレンドのレートが含まれることになります。
つまり、上昇を始める初期段階では移動平均線はすぐには上向きにならないのです。移動平均線の動きはどうしてもレートに少し遅れます。
この遅れる度合いは、移動平均線の「期間の長さ」によります。期間が短いほど値に対して反応が早く、期間が長いほど値に対して反応が遅くなります。
例えば、20期間移動平均と75期間移動平均を比べると、75期間移動平均のほうが反応は遅れるということです。
下のチャートは、移動平均線の「期間」だけを変えた同じチャートです。同じチャートでも移動平均線の期間によって、形状がかなり違うことがわかるかと思います。
4.ポジションの平均取得コスト
移動平均線の基本的な使い方として、移動平均線の上に価格があれば相場が強気、下にあれば弱気というように判断します。
なぜ、そう判断されるのでしょうか?
それは、移動平均線が、その期間のポジションの「平均取得コスト」を表すからです。
例えば、本日のドル円の移動平均が120円だったとしましょう。この場合、直近20日間でドルを売買した人は平均120円でドル円を売買したことになります。
移動平均線よりも現在レートが上であれば、買いポジションを持っている方は、利が乗っている状態です。
仮に、現在のドル円が121円であれば、買いポジションは、1ドル当たり1円の利が乗っている状態で、逆に売りポジションは1円の含み損を抱えている状況です。
移動平均線よりもレートが下であれば、売りポジションを持っている方は、利が乗っている状態と言えます。
現在のドル円が119円であれば、売りポジションは、1ドル当たり1円の利が乗っている状態で、逆に買いポジションは1円の含み損を抱えているという状況です。
移動平均線を隔ててポジションを保有している人の心理状態が、勝ち組と負け組で分けられるのです。
もちろん厳密に考えれば、それぞれの出来高を加味すべきですが、出来高に変化がないという前提であれば、移動平均線を平均取得コストの近似値としてみなすことができます。
5.移動平均線の見るべき3つのポイント
移動平均線で見るべきポイントとして次の3つがあります。
・移動平均線の向きと傾き
・移動平均線と価格との位置関係
・価格の移動平均線反発
では、一つ一つ見ていきましょう。
5-1 移動平均線の向きと傾き
移動平均線は、一定期間の価格の平均値を結ぶことによって、価格動向を見た目でわかりやすく表現してくれます。
つまり、移動平均線の向きは、価格の傾向を示しています。
上向きであれば、買われている傾向を示し、下向きであれば、売られている傾向を示すのです。
また、傾きはその傾向の強さを表しています。上への傾きがきつければ、買われている傾向がより強いということになるのです。
5-2 移動平均線と価格との位置関係
相場は、平均回帰性があると言われます。これは、価格はいずれ平均へ回帰するという意味です。
例えば、一気に買い上げられ、レートが跳ね上がっても、じきに調整され、移動平均線に近づいていくのです。
この調整には、「縦軸(価格)の調整」と「横軸(時間)の調整」の2種類があります。
では、それぞれ説明していきます。
5-2-1 縦軸(価格)の調整
「縦軸(価格)の調整」というのは、時間が経過しない状況で価格の調整が起きている状況です。
下のチャートを見てください。
このチャートでは、急激な上昇で移動平均線に「価格」の方が近づいているのがわかるでしょうか?
このように短時間で大きく下げた場合、新たな売りが続かず、その後、レンジに移行する可能性が高い傾向にあります。
5-2-2 時間(横軸)の調整
「横軸(時間)の調整」というのは、価格が動かず、時間による調整が起きている状況です。
下のチャートを見てください。
移動平均線が価格が近づいてきているのがわかるでしょうか?
再度下落するタイミングを市場が待っている状況です。移動平均線に価格がタッチした後、再度下落する可能性が高い状態と言えます。
5-3 価格の移動平均線反発
移動平均線は、相場の相場環境を把握するためだけではなく、実際のエントリーのタイミングで使用されることもあります。
既にお伝えしましたが、ボラティリティは、拡大と収縮を繰り返しています。
そして、価格は、平均値から離れれば、引き寄せられ、平均値にくっつき、くっつけば、また離れるということを繰り返しています。
この特性を活かして、トレンド形成時の押し目買いや戻り売りのエントリータイミングとして、移動平均線の反発はよく使用されます。
例えば、先ほど説明した5-5-2「横軸(時間)の調整」がいい例でしょう。
市場が再度の下落を待っている状況で、価格が移動平均線に近づいてきて、移動平均線にタッチしたと同時に、ショートエントリー。
そんなエントリーのタイミングとしても移動平均線を使うことができます。
6.グランビルの法則
移動平均線の手法と言えば、「グランビルの法則」が有名です。ここからは、これについて詳しく説明していきましょう。
6-1 グランビルの法則とは
グランビルの法則とは、米国のジョゼフ・E・グランビルが考案し、もともとは株式売買のタイミングを図るために生み出されたものです。
もちろん、為替にも応用することができます。
グランビルの法則は、移動平均線とローソク足の位置や動きの関係をエントリーとエグジットの判断材料とするものです。
買いと売りでそれぞれ4通りの法則で計8つの法則があります。
6-2 4つの買い法則
まずは、買いの法則から解説していきます。
6-2-1 買い法則1
”移動平均線が下落から横ばいで推移した後に、ローソク足が下から上へ上抜いたら買い”
移動平均線が横ばいで推移するということは、下落基調であった相場が下げなくなっている状況を示しています。
いったんの底である可能性が高く、この状態で移動平均線を上抜いたことで、底からの上昇を狙うという場面です。
単純にこのシグナルでエントリーしていくというよりは、長期足のサポートラインなど複数の上昇を予感させるチャートポイントで出現すれば、ぜひ狙っていきたいタイミングです。
6-2-2 買い法則2
”移動平均線が上昇中のときに、ローソク足がいったん移動平均線の下まで下落してから再度上昇し、移動平均線を上抜いたら買い”
これは、上昇トレンドの押し目買いの場面です。下へ行くと見せかけて再上昇する、これは一種のダマシの要素を含んでいます。
移動平均線を下回ったことで、いったんの天井をつけたと判断してショートで入った人が一気に損切りさせられて上に跳ね上げられている状況です。
上昇トレンド中で、すでに買いポジションを保有しているのであれば、増し玉する一つのタイミングとなるでしょう。
6-2-3 買い法則3
”移動平均線が上昇中に、ローソク足が移動平均線に近づいてきたが、割り込むことなく再上昇したら買い”
これは、トレンドの発生初期に見られる状況で、深い押しを作らず上昇している場面です。高値掴みになる可能性があり、なかなか入りづらいタイミングです。
6-2-4 買い法則4
”下落中の移動平均線より価格が大きくかい離して下落した場合、反発しだしたら買い”
これは、急激に下落している状況です。「行き過ぎはいつか戻される」という平均回帰性の考え方をもとにしていて、売られすぎの状態からの自立反発を狙うものです。
確かに調整は起こるでしょうが、実際には入るタイミングが難しいでしょう。
このケースも単純にこのシグナルでエントリーしていくのではなく、長期足のサポートラインなど複数の上昇を予感させるチャートポイントと合わせて狙っていくといいでしょう。
この買い法則4については、ショートエントリーしている場合のエグジットタイミングとしての活用もできるでしょう。
6-3 4つの売り法則
次に売り法則について解説していきます。売り法則は、買い法則を単純に逆にしたものです。
6-3-1 売り法則1
”移動平均線が上昇から横ばいで推移した後にローソク足が上から下へ抜いたら売りと判断”
移動平均線が横ばいで推移するということは、上昇基調であった相場が下がらずもみ合いをしていることを示しています。
いったんの天井である可能性が高く、この状態で、移動平均線を下抜いたことで、天井からの下落を狙うという場面です。
単純にこのシグナルでエントリーしていくというよりは、長期足のレジスタンスラインなど複数の下落を予感させるチャートポイントがあれば、狙っていきたいタイミングです。
6-3-2 売り法則2
”移動平均線が下降中のときに、ローソク足がいったん移動平均線の上まで上昇してから再度下落し、移動平均線を下抜いたら売り”
これは、下降トレンドの戻り売りの場面です。上へ行くと見せかけて再下降するという一種のダマシです。
移動平均線を上回ったことで、いったんの底と判断し、ロングで入った人は一気に損切させられて下に落とされている状況です。
下降トレンド中で、すでに売りポジションを保有しているのであれば、増し玉する一つのタイミングとなるでしょう。
6-3-3 売り法則3
”移動平均線が下降中に、ローソク足が移動平均線に近づいてきたが、上抜けることなく再下落したら売り”
これは、トレンドの発生初期に見られる状況で、深い戻しを作らず下落している場面です。安値掴みになる可能性があり、実際には入りづらいタイミングです。
6-3-4 売り法則4
”上昇中の移動平均線より、価格が大きくかい離して上昇した場合、下落しだしたら売り”
上昇スピードに移動平均線が追いついていない状況を示しています。
「行き過ぎはいつか戻される」という考え方をもとにしていて、買われすぎの状態からの下落を狙うものです。
確かに、いずれ調整は起こるでしょうが、実際にエントリータイミングとしては難しいものがあります。
このケースも、単純にこのシグナルでエントリーしていくというよりは、長期足のレジスタンスラインなど、複数の下落を予感させるチャートポイントに絡めていければいいでしょう。
この売り法則4については、ロングエントリーしている場合、エグジットタイミングとしての活用もできます。
7.ゴールデンクロスとデッドクロス
ゴールデンクロスとデッドクロスは、2本の異なる期間で計算された移動平均線の交差を売買タイミングとして使う手法です。
ゴールデンクロスは、短期移動平均線が長期移動平均線を上抜いたら買いもしくは売りの決済。デッドクロスは、短期移動平均線が長期移動平均線を下抜いたら売りもしくは買いの決済。
7-1 2つの問題点
ゴールデンクロスとデッドクロスは使えない・・・これはよく聞く声ですが、実際やってみると確かにこれ単体では使えません。
それは、次の2つの問題があるからです。
問題1 遅効性
この手法は、シグナルが出るのが遅れるという致命的な欠点があります。
例えば、下降トレンドから相場が反転上昇を始め、短期移動平均線が上昇を始めます。そして、ある程度の上昇を経てからゴールデンクロスが出るのです。
ゴールデン(デッド)クロスは、トレンドの初動を捉えることができません。エントリータイミングが遅れ、利益も小さく、損切りも遅くなってしまいます。
問題2 ダマシに遭いやすい
この手法は、トレンドが発生している場面では上手く機能するのですが、レンジの環境になると、途端にダマシばかりで、機能しなくなります。
下のチャートはレンジ相場ですが、いかに機能していないかがわかると思います。
7-2 正しい使い方
前述したようにゴールデンクロスとデッドクロスは単純なエントリー&エグジットのシグナルとしては使うことができません。そのため、他の手法と組み合わせた現実的な活用法として、次の2つの方法を提案します。
使い方1 相場の強気弱気の判断として使う方法
これは、移動平均線を相場の環境認識のツールとして使う方法です。
移動平均線を使って、相場環境を把握し、他の売買シグナルを出すロジックや手法を組み合わせて、トレードを行うのです。
下のチャートを見てください。移動平均線は、短期(20MA)と長期(75MA)の移動平均線を表示しています。
これらを囲まれた部分をバンドと考えて、バンドの下へ価格があるときは”弱気である”と判断し、基本的にショートのシグナルだけを受け入れる。バンドの上へ価格があるときは”強気である”と判断し、基本的にロングのシグナルだけを受け入れるのです。
ゴールデンクロス・デッドクロスをそのまま売買シグナルとして使うのではなく、方向性を定めるためのツールとして使い、他のシグナルや手法でエントリータイミングを計っていくのです。
使い方2 売買シグナルとして使う方法
もう一つの方法が、売買シグナルとして使う方法です。
既に説明したように、レンジ相場では、移動平均線の単純な売買シグナルは機能しません。
なぜ機能しないのかというと、シグナルが出る相場環境を無視しているからです。相場環境を把握した上で、トレンドが発生している場面でのみ、シグナルを受け入れればいいのです。
例えば、ダウ理論によるトレンド判断をした上で、
上昇トレンドである場合には、ゴールデンクロスでエントリーし、デッドクロスでエグジットする。下降トレンドである場合には、デッドクロスでエントリーし、ゴールデンクロスでエグジットする。
この一工夫をするだけでも、パフォーマンスは全く違うものになります。エグジット部分をより工夫すれば、実践レベルで使えるようになるはずです。
このダウ理論については、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ見てください。
8.まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
移動平均線は強気弱気など相場環境を把握するのにも、エントリーやエグジットのタイミングを計るのにも使える万能なインディケーターです。
上手に使えば、トレードする上で非常に強力な武器になるはずです。
インディケーターは、”役割を明確にし、なぜそれを使うのかを理解した上でトレード判断の材料の一つとして使う”というのが、最も正しい使い方です。
「インディケーターがサインを出したからエントリーした」というのではなく、その判断を下すための合理的な根拠を見出す必要があります。
なぜエントリーするべきなのか、その優位性(エッジ)をしっかりと人に説明できるようにインディケーターの本質への理解を深めていただければと思います。