
こんな疑問に答えます。
FXの数ある注文方法の中で、成り行き注文は最もシンプルでわかりやすい注文方法。
ただ、成り行き注文をいつも使っている人は、その特徴や正しい使い方について、あまり深く考えたことがないかもしれません。
この記事では、最も基本的でシンプルな成り行き注文の特徴やメリット・デメリット、使うべき場面と使ってはいけない場面について、詳しく解説していきます。
成り行き注文の特徴と正しい使い方を理解してもらうことで、
- トレードがしやすくなる
- トレードの幅が広がる
- トレードの精度が高まる
こういったことが期待できると思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
1.成り行き注文とは?

それでは、さっそく成り行き注文とは何か?というところからお話ししていきましょう。
成り行き注文は、発注した瞬間に売買が成立する注文方法です。
ですから、まさに今買いたい、売りたいという時に使います。実際に値動きの勢いを感じながら、エントリーや決済ができるのが大きな特徴です。
特に、スキャルピングなどの短期売買の場合は、素早くエントリー&決済を行う必要がありますから、成り行き注文でトレードすることになります。
この成り行き注文には、メリットとデメリットがあります。
2.成り行き注文のメリット・デメリット

メリット
成り行き注文のメリットとしては、次の2つが挙げられます。
- 勢いを確認してから発注できること
- ほぼ確実にポジションを持つことができる
それぞれ詳しく解説します。
①勢いを確認してから発注できること
まず、一つ目のメリットとして、勢いを確認してから発注できることが挙げられます。
成り行き注文は、発注した直後に約定する注文方法です。ですから、価格が動く様子を見ながら、自分のタイミングでポジションを持つことができます。
成り行き注文の他に、指値・逆指値注文などがありますが、指値・逆指値注文は、注文しておけば、勝手に売買が成立する注文方法です。
使い方によっては、とても便利な注文方法なのですが、売買判断を下す重要な要素の一つである値動きの勢いを確認することができません。
勢い見てから、売買判断を下せるのは、成り行き注文の大きなメリットです。

※ちなみに、指値・逆指値注文については、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫参考:【FXの注文方法】指値注文、逆指値注文とは?その特徴と正しい使い方の徹底解説
②ほぼ確実にポジションを持つことができる
成り行き注文のもう一つのメリットとして、ほぼ確実にポジションを持てるということがあります。
例えば、ほぼ上がる(下がる)と確信しているなら、押し目や戻しを待たずにとっととポジションを持つべきです。
というのも、勢いが強ければ、押し目や戻しを作らず、一気に値が伸びてしまうことが多いからです。
指値・逆指値注文は、指定した価格に到達しなければ約定しません。
デメリット
成り行き注文のデメリットには、
- チャートを見ている時にしか注文できない
- 約定した後でないと約定レートがわからない
- 感情でトレードしてしまう
ということがあります。
一つずつ説明していきます。
①チャートを見ている時にしか注文できない
指値注文・逆指値注文であれば、指定した価格に到達すれば、自動的に約定するのに対し、成り行き注文は、発注するまでずっとチャートを見ている必要があります。
つまり、時間的な制約がある人には向かない注文方法です。
②約定した後でないと約定レートがわからない
成り行き注文は、発注レートと約定レートが一致しない場合があります。
というのも、成り行き注文は、「スリッページ」が発生する場合があるからです。
下の図のように、注文レートと約定レートの差をスリッページと言います。

ドル円を100.00円で買おうと思って、成り行き注文しましたが、実際の約定価格は100.02円だったという場合です。
スリッページによって、2銭不利な価格で約定してしまったことになります。
スリッページとはそもそも何か?なぜスリッページが生じるのか?これについて、下の図で説明します。

まず、インターバンクから提示されたレートがFX業者に配信されます。(図①)
そして、そのレートをFX業者が顧客に提示します。(図②)
顧客はその提示されたレートで成り行き注文しますが、顧客からの注文がFX業者に届くまでに、インターバンクからFX業者へ提示されるレートが変わっていることがあるわけです。(図③④)
その場合、インターバンクから提示されたレートで約定することになるため、成り行き注文時のレートとズレが生じ、スリッページが生まれるという流れになります。(図⑤)
このような流れからわかるように、スリッページは、注文のタイムラグによって生まれます。
スリッページは、成り行き注文の大きな特徴です。
なお、スリッページの許容幅を設定できるFX業者もあります。この場合、設定したスリッページ以上となる場合は約定させないことができます。
③感情でトレードしてしまう
成り行き注文の3つ目のデメリットは、感情でトレードしてしまうことです。
成り行き注文の良い所として、価格の勢いを見ながらエントリー&決済できることがあります。
しかし、これは逆に感情に左右されてトレードしてしまうことに繋がります。特に、まだFXを始めたばかりの時は、感情でトレードしてしまいがちです。
例えば、
- 価格が上がればすぐに買いたくなる
- 価格が下がればすぐに売りたくなる
- 大きな含み損を抱えても、損切りができない
- 含み益が出ると、すぐに決済したがる
- ブレイクアウトの瞬間に飛び乗りたくなる
このようなトレード中に沸き起こる人の感情は、常に最大利益の邪魔となります。
利益とは常に逆の行動を取ってしまうのが人間の性です。
ですから、成り行き注文は、最も単純でわかりやすい注文方法でありつつも、初心者には最も難しい注文方法と言うことができます。
3.成り行き注文を使うべき時と使ってはいけない時

さて、ここまで成り行き注文の基礎知識をお伝えしてきました。
次に、成り行き注文を使うべき時と使ってはいけない時について、整理していきましょう。
成り行き注文を使うべき時
まずは、成り行き注文を使うべき時は次のとおり。
- 勢いを確認した後に売買判断を下したい時
- トレードシナリオに自信がある時
それでは、一つ一つ説明していきましょう。
①勢いを確認した後に売買判断を下したい時
まず一つ目が、勢いを確認した後に売買判断を下したい時です。
成り行き注文の大きな特徴として、価格の勢いを確認してからエントリーできることがあります。
実は、これは大きな利点です。なぜなら、価格の勢いというのは、相場から読み取れる情報の中でもかなり大きなものだからです。
やはり、値が伸びる時はグイグイと勢いがありますし、伸びない時はあまり勢いが感じられないものです。
リアルタイムで値動きの勢いを確認して、売買判断を下せるのはこの注文方法の大きなメリットです。
ですから、相場の勢いを感じながらエントリー、もしくは決済をしたいという場合は、成り行き注文がおすすめです。
②トレードシナリオに自信がある時
成り行き注文は、ほぼ確実にポジションを持つことができます。
相場分析をした結果、一方向へ行くと確信できるのであれば、さっさとポジションを持ってしまうべきです。
確かに押し戻しを待つことによって、リスクリワードは良くなりますが、押しや戻しを作らず、そのまま行ってしまった場合、ポジションを持つことができません。
うだうだしている間に、そのまま値が伸びてノートレードとなってしまうことが往々にしてあります。
伸びると確信したのなら、さっさと成り行き注文でポジションを持つべきなのです。
成り行き注文を使ってはいけない時
逆に、成り行き注文を使ってはいけない場合があります。
それは、
- 重要経済指標の発表直後
- まだトレード経験が浅い時
です。
①重要経済指標の発表直後
成り行き注文は、ほぼ確実にポジションを持つことができるというメリットと引き換えに、スリッページが発生するというデメリットを持ちます。
スリッページの原因はタイムラグにあります。そのタイムラグが生じる際、価格変動が大きければ大きいほどスリッページも大きくなります。
価格変動の大きい場面、つまり、ボラティリティが高い場面では、成り行き注文は使わない方がいいでしょう。
例えば、米国雇用統計など、市場参加者が注目する重要イベントがある時は、直後に大きく値が動くため、スリッページが発生しやすく注意が必要です。
②まだトレード経験が浅い時
成り行き注文は、感情に大きく左右されます。
そういう意味では、成り行き注文は、最も単純な注文方法でありつつ、感情のコントロールがまだできない初心者には難しい注文方法です。
ですから、まだトレード経験が浅い時期には、成り行き注文でトレードすることは避けるべきです。
相場分析からトレードプランを立て、自分の決めた価格でエントリー、決済ができるようになり、相場に対して人はどのような感情の動きをするのか、その辺を十分理解してから、成り行き注文でトレードするのがいいかもしれません。
4.まとめ

さて、注文方法の中で最も基本的でシンプルな成り行き注文の特徴とメリット・デメリット、使うべき場面と使ってはいけない場面を詳しく解説してきました。
成り行き注文の特徴を理解していただき、適切に使ってもらうことで、様々なトレードプランに対応できるようになり、トレードの幅も広がり、より良いポジションを取ることができるようになるはずです。
ぜひ、成り行き注文を使いこなし、あなたのトレードに生かしてみてください。