- 一生懸命働いているのに給料が安い・・・
- 今の仕事は、自分に合っていないかも・・・
あなたは、給料や職場環境、仕事の内容に不満を抱き、転職したいと考えたことはないでしょうか?
転職は、キャリアアップを考えた時、有効な手段となり得ます。なぜなら、全く違う職場環境に身を置くことで、新たなスキル習得の機会となるからです。
ただ、そうは言っても簡単に転職に踏み切れる人は珍しいと思います。当然、リスクのあることですから、普通は躊躇してしまいます。
そこで、ぜひ選択肢の一つに入れてもらいたいのが「社内転職」です。社内転職とは、いわば社内異動のことで、会社を辞めずに職場環境を変えることができます。
例えば、本人希望に基づく異動や新規事業立ち上げの公募で自ら手を挙げることで社内転職ができます。
今働いている会社でこのような制度があれば、会社を辞めることなく転職と同様の効果を得ることができます。リスクのある転職に躊躇してしまう方におすすめしたい手段の一つです。
私自身、キャリア形成を目的として今の会社で6部署を渡り歩いてきました。
その中で、スキルと転職について、これまで考えてきたことをお伝えしていきたいと思います。
これらは、通常の転職にも役に立つ内容だと思います。ぜひ最後までお付き合いください。
転職の2つのメリット
まず、転職にはどのようなメリットがあるのかを考えていきましょう。次の2つのメリットがあります。
①新しいスキル習得の機会
まず、一つ目が新しいスキルを手に入れる機会を得ることができるという点です。
たとえ同じ職種でも、働く環境が変われば、求められるスキルも変わってきます。管理職など立場が変わればマネジメントという新たなスキル習得の機会となるのです。
新たなスキルの習得や経験は、キャリアに有利に働きます。
②成長のブースト効果
安心、安全、快適で不安やストレスのない環境を「コンフォートゾーン」と言います。人は一度このコンフォートゾーンに入ってしまうと、自身の成長を止めてしまいます。
今後のあなたのキャリアを考えた場合、コンフォートゾーンに居続けることは、決して良いことではありません。
キャリアの目的達成のためには、自らが積極的にコンフォートゾーンから抜け出し、適度な緊張感、ストレスに身を置く意識が必要です。
新しい人間関係、新しい仕事、新しい知識、これらがもたらす緊張感やストレスは、自身の成長スピードを加速させる燃料となるのです。
2つの転職
転職には、その動機によって次の2つの転職に分かれます。そして、この動機の違いが、その後の成長スピード、キャリアにおいて大きな分かれ目になります。
①受動的な転職
まずは、「受動的な転職」です。これは、今の職場環境から逃れようとする後ろ向きの転職です。
人間関係のストレス、将来への不安によって、職場環境を変えようとするネガティブな転職と言ってもいいでしょう。恐らく、転職で最も多いパターンのこの「受動的な転職」だと思います。
②能動的な転職
次に「能動的な転職」です。
自分のキャリアアップのための前向きな転職です。自己成長のために新たな挑戦の場を求めるポジティブな転職と言ってもいいでしょう。
「新たなスキルを学びたい」、「より自分を高められる環境に身を置きたい」という意欲的な転職であり、前述した転職のメリットを享受できる可能性の高い転職です。
自分のキャリアをデザインしたいのであれば、コンフォートゾーンを抜け出し、能動的な転職をしていく必要があります。
転職活動においても、能動的な転職をしようとする場合、「自分がどうなりたいのか?」「どんな活躍をしたいのか?」が明確です。転職の際の面接や面談でも有利なのは言うまでもありません。
能動的な転職ができない理由
とは言え、これまで慣れ親しんだ職場環境を離れ、全く知らない環境で仕事を求めることはなかなかできるものではありません。
人は、新たなチャレンジや環境を変える時、大きなストレスを感じるものです。
なぜ、大きなストレスを感じるのかというと、人には生来、強力な「現状維持機能」が備わっているからです。
人は、この機能を持っているがゆえに、変化を極端に嫌い、無意識にリスクの少ない方を選ぼうとするのです。
例えば、これまでの狩場とは全く違う狩場へ行くことは、新たな敵と遭遇するリスクを高めます。ですから、新たな狩場へ行くことを避けさせようと脳がストレス物質を発生させるのです。
これはあらゆる動物に備わっている機能で、人も例外ではありません。ですから、どんな合理的な判断をしようとも、現状維持を続けようと思考には一定のバイアスがかかります。
どれだけバイアスを無くそうとしても、生来備わっているこの機能からは逃れることができないのです。
転職は、新たな狩場を求める行為ですから、どうしても大きなストレスを感じます。
「変化」と「現状維持」。人がこの2つの選択肢を与えられた時、ほとんどの人は現状維持を選ぶか選ぶこと自体を放棄します。
どれだけ理性的で正しい決断をしようとしても変化やリスクの少ない方を無意識に選んでしまうのです。
現状維持を選べればまだ良い方で、何かしら適当な理由でも付けて何も選ばないことの方が実際には多いと思います。今は決断の時期ではないとか、様子を見てから決めようとか、誰かの意見を聞いてみようとか。
選択しなければ、誤った選択だったと後悔することもありません。だから、多くの場合、選ぶこと自体を先延ばしにしようとするのです。
動物として生来備わっている本能は、思っている以上に私達の行動に影響します。
自分の目的達成のために正しい選択肢を取り続けることは、本当に難しいことです。これができる人は極めて珍しいでしょう。
決断には、大きなストレスがかかるものです。だからこそ、人は決断から避け、どうしようも無い状況に追い込まれてから決断しようとします。
それは、決断しているようで、実際には何も決断していません。当然、そんな受動的な決断は、良い結果を生みません。
- 失敗したくない
- 損をしたくない
- ストレスを避けたい
- 傷つきたくない
- 疲れたくない
人はあらゆる不安やストレスから逃れようとします。これが積極的な転職を選択できない最大の理由です。
受動的な転職とは、このままこの職場にいたら本当にヤバいという状況に追い込まれることであり、いわば選択肢が強制的に消された状況です。
止むを得ず変化を選ばなければならない状況になって、初めて変化することを選びます。
これが、失敗したくない、自分を守りたい、傷つきたくない、という痛がり屋の日本人が積極的な転職を選べない真実です。
社内転職という道
転職する際、給料など待遇面については入社前にわかりますが、どのような職場の雰囲気なのか、どんな人が同僚なのかはわかりません。
働いたことのない会社の内部は外からは見えないことも多いですから、 転職にリスクがあるのは確かです。残業代がちゃんと支給されるかなんて、実際に働いてみないとわからないでしょう。
また、中途採用であれば、即戦力として期待され、前職で身に付けたスキルや能力へのプレシャーも大きくなります。求められる業務のレベルも上がるでしょう。
そこで、おすすめなのが冒頭でお話した「社内転職」という選択肢です。
今の会社の雰囲気は気に入っている、給料面も悪くない。ただ、別のスキルも身に付けたい、他の業務も覚えたい、自分の強みを生かしたいと考える人におすすめの制度です。
いかに自分のキャリアのためとは言え、今の会社を辞めて、他の会社に移ることは非常に勇気が要ることですし、大きな決断が必要となります。
社内転職と言うと言葉自体、聞き慣れないかもしれませんが、自主申告制度を利用した社内異動というとイメージしやすいでしょう。
今では、社員の希望を異動の際に考慮に入れる会社も多くなってきています。もし、今の会社にこの制度があれば、積極的に活用してみましょう。
社内転職のメリット
社内転職のメリットとしては次のようなものがあります。
①会社を辞めなくていい
会社を辞めることは、想像以上のストレスが掛かります。会社を辞めなくても良いだけで精神的ハードルが大分下がるはずです。
また、同じ会社ですから、異動によって給料が大きく上がることは期待できませんが、逆に下がることも少ないはずです。
同じ会社ですから、職場の雰囲気はだいだい掴めるでしょうから、他の会社に移るよりはストレスがだいぶ少なくなるはずです。
②未経験でも働ける
これまで今の会社で働いた実績があるから、未経験の職種でも働かせてくれる場合があります。それは、これまでやってきたというビジネスマンとしての基礎的な素養があることを会社としてすでにわかっているからです。
新しい会社で新しい仕事だと求められる期待も大きいですが、これまで働いていた会社であれば、一度入社の「合格」を与えているわけですから、未経験でも受け入れてくれるはずです。
未経験の社外の人間と未経験の同じ会社の人間では、同じ職場で働く社員への印象も違うはずです。
③社内ネットワークを活用できる
会社を変えると、それまで築き上げてきた人間関係がゼロになります。社内転職の場合、社内の人間関係は残りますから、その点は大きいと思います。
他部署で働いた経験によるネットワークが社内折衝などで重宝されたりしますから、社内転職者の大きな強みとなる場合があります。
④働く環境を事前に把握できる
働く環境を事前に知ることができるのは大きなメリットだと思います。
どんな仕事内容なのか?どんなメンバーが揃っているのか?社内の人に話を聞くことで、何となく雰囲気を掴むことができます。転職前の心理的な障壁は大分無くなるでしょう。
転職で意識すべき3つのこと
転職の際に意識すべきことが3つあります。
①自身のキャリア戦略と一致すること
キャリア戦略を考える上で、転職は有効な手段となり得ます。なぜなら、全く違う環境に身を置くことで、新たなスキルを習得できる機会になるからです。
「自分のキャリアを作る」という観点において、転職はあなたにとって非常に有効な選択になるはずです。
自身のキャリアをより効率的に積み上げるためにも、「どんなキャリアを積み上げたいのか?」これを明確にしておく必要があります。
当然、転職先は自分の身に付けたいスキルを習得できる環境であることが前提となります。
②逆張りであるか?
私は、「逆張り」がこの資本主義経済において重要な視点だと思っています。逆張りとは、多くの人の意識の逆に張ることを言います。大衆の逆に向かうこと、流行の逆に向かうということです。
人が投資で失敗する本質は、他の人と同じ行動をとってしまうからです。
例えば、株など金融商品の値が上がると自分も儲けたくなって買いたい衝動に駆られます。みんなが一斉に買いたくなると、売り手よりも買い手が多くなりますから、市場原理で値が上がった状態で買うことになります。
逆に、値下がり始めると、恐くなって手放したい衝動に駆られます。みんなが一斉に売りたくなると、買い手よりも売り手が多くなりますから、値が下がった状態で売ることになるのです。
つまり、買いたい時は値が上がっている時で、売りたい時は値が下がっている時。だから、どうしても損失となりやすい。これが多くの人が投資で失敗する本質です。
逆に、これを逆の行動ができれば投資で失敗することはないということです。人が手放す時に買い、人が買う時に売る。
もちろん、話はそれほど単純ではありませんが、これが本質なのです。
「売り手市場」「買い手市場」と言うように、人材も需要と供給の市場原理で動いている以上、転職でもこの市場の原理原則が当てはまります。
流行を求めて転職することは、決して良い結果をもたらしません。人気の職業だからといって、あなたに合った職業とは限らないのです。
単純な逆張りが全て正解とは言いませんが、流行に流された転職に意味はありません。あなたの描くキャリアの延長線上に成功する転職があるのです。
③スキルのシナジーを起こす
スキルと言っても完全に独立して存在するスキルはありません。複数のスキルが相互に作用して存在しています。
レバレッジを利かせるために、身に付けるスキルは互いにシナジーを起こす組み合わせがいいでしょう。
例えば、企画力、マーケティング力、プレゼンスキル、これらは全て関連性があります。これら3つのスキルは互いに高め合う関係にあり、しかも同じ局面で使う可能性が非常に高いスキルです。
ということは、一つの事業において同時に鍛えることもでき、発揮もできるということです。
一つ一つ単独で学ばなくても、一つの局面で一緒に学べますから、効果的にスキルを身に付けることができるのです。
ただ、あれもこれも身に付けたいと言っても、どれも中途半端になってしまっては意味がありません。「何でもできる」ということは、一方では「特徴がない」と見られてしまうのです。
特定のスキルに絞らなければ潰しがききますが、外部からの印象としては、「中途半端な人」になりやすいのが欠点です。
自らのキャリア戦略に照らし合わせて、習得するスキルを絞るべきか広げるべきかを判断する必要があります。
おすすめなのは、自分の強化したいスキルを3つ程度に絞って強化することです。しかも、その3つが相互に作用し、シナジーを起こせるスキルならば最高です。
スキル絞ることで、リソースの分散を防ぎ、あなた自身のブランディングがしやすくなるのです。
例えば、企画力、マーケティング力、プレゼンスキル、それぞれのスキルにおいて社内一がいたとしても、企画力×マーケティング力×プレゼンスキル、これらを高い次元で併せ持つ人材は、限りなく少なくなるはずです。
習得するスキルを絞って磨き上げることで、唯一無二の存在になるのです。
将来、目指すべき人材となるために、「どのようなスキルを身に付けるべきか?」を明確にし、「そのスキルを磨ける環境に今あるか?」この問いを自らにする。そして、もしもこの答えが「No」であれば、躊躇なく、新たな環境を求めることです。
まとめ
働く環境を劇的に変える転職は、現状維持を願う多くの人にとって、非常に厳しい選択肢の一つです。
しかし、普通の人と同じ道を歩いていても、飛び抜けた結果を手に入れることはできません。
もし、自らの能力を最大限発揮して、社会にインパクトを与えたいのなら、自分の力でより多くの人に影響を与えたいのなら、転職を視野に入れるべきです。
あなたも入社当時は、見えるもの何もかもが新鮮で、仕事を覚えるのに必死だったと思います。そのうちどんどん任されることも増えてきて、仕事が楽しくなってきたでしょう。
次第に、自分でできることが増え、それを上手く早くこなせる自分に酔い始めます。これが成長を止めてしまうコンフォートゾーンに入った状態です。
この状態が長く続くと、成長は完全に止まります。うまくいっているときほど、成長の停滞を意識しなければならないのです。
私は、これを意識するために、年に一度自分を見つめ直す時間を設けています。「一年前と比べ、何か新たな知識やスキルを身に付けたか?」と自分に聞いてみるのです。
もし、そこで何かしら明確な答えが出てこないのであれば、今コンフォートゾーンの中にいる可能性が非常に高い。ですから、職場を変えることを考えます。
心地いい今の職場を変えようとすることは簡単なことではありません。しかし、成長が止まってしまうことは、あなた自身のキャリアにとっても会社にとっても決して良いことではありません。
心地の良い環境から、新たな環境に変える厳しい決断をする必要があります。うまくいっている時ほど、環境を変える決断が大切になることをぜひ覚えておいてください。
その新たな環境を社内に求めるのか社外に求めるのかは、あなたのキャリア戦略によるでしょう。
あなたの身に付けたいスキルが今の会社内の他部署で育めるのであれば、そこへ自らが泳いでいくのも有効な選択肢です。
あなたのキャリアの目的は何でしょうか?
新しい挑戦をし続けることでしょうか?自分の強みを生かして社会に貢献することでしょうか?それとも、スキルを身に付け、いつか自分の会社を立ち上げることでしょうか?
ぜひ、自分のキャリアの目的と今の職場環境について、じっくりと時間を取って考えてみてください。